卒後相談事業のご報告

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2020年6月23日

卒後相談事業の開催報告

2020年6月22日(月)卒業生支援事業の一環としての『卒後相談』を開催しました。今回は”レンタル施術ルーム”である校友会鍼灸室登録メンバー(42名)の皆様に対しての限定開催と致しました。今後、必要の応じて会員全体へも広げていけたら良いと思っています。

「鍼灸師 なんでも相談会」

相談形式は個別相談とグループ相談の二つを用意いたしました。個別相談(1対1)を3件、3人を対象にしたグループ相談会を1件です。1件に付き30分から60分を目安に実施しました。内容はタイトルの通りの「なんでも」OKにしています。
何でも相談会ですので、内容はなんでもOK!!
鍼の打ち方、身体の見方、コミュニケーションの方法論、経営のこと、集客のこと、鍼灸師としての在り方・心、その他、雑談、鍼灸室の運営への意見でもOK
こんなこと考えています。
悩んでいます。
こんな意見があります。
良いことがありました!ただ話聞いて。(愚痴OK)etc… 要するに、皆様が何を考えているのかを知りたい。これに尽きます。 何を喜びとし、何に苦悩しているのか。
相談会と言いながら、単なる座談会になるかもですが、それもよいでしょう^^ 鍼灸室メンバーへの送信メールより
以上のようなメールを送り、6名の方の出席が決まりました。
10:30 1件目。数ヶ月前に出産したばかりの方です。お子さん連れでの個別相談をさせて頂きました。
卒業後、東京女子医大にて研修を受け、顔面神経麻痺への鍼灸治療を習得しています。その後、表参道にて鍼灸院店長を経て、帰阪。マンションの一室で鍼灸院を開業します。順調に営業を継続するも、結婚・出産を契機に閉院。この時は、苦渋の決断であったとお聞きしました。しかし、出産後に改めて自宅開業にて再起が決めています。なんともガッツ溢れていますね。
相談内容はというと、確定申告など会計業務に疎く、新しく営業する際は、適切に処理をしたいとのことです。私の経験を中心に確定申告や領収書の取り扱いなどをお伝えし、基本的なことは管轄の税務署で丁寧に指導してもらえることをアドバイスしました。
集客や開業手法が相談内容としては多い中にあって、会計業務以外のことはほぼほぼ大丈夫という印象を受けた方です。所要時間30分。
12:30 2件目。開業準備を進めている方からのご相談。「初歩的な質問ばかりするかもしれませんが・・・」と仰っておりましたが、大丈夫です。素直に聞ける在り方が美しいなと思います。事前に20個ほどの質問を印刷して持参してくれました。
質問内容は以下の通りです。
問題点が整理されていて素晴らしいなと思いました。
一つ一つの問いに対して、「私の経験と自論ですが」という注釈を入れて回答をしました。このようなQ&Aにおいて、「正解!」というが本当にあるのだろうか?と思います。正解はその人の数だけあると言ってもよいかもしれません。
また、別の視点からもアドバイスをしています。それは、個々の問いに対して、回答する必要がない。言い換えると、質問者が自ら回答を生み出せる状態です。それは、コンセプトや方向性が確立していれば、そもそも問いすら生じないということです。具体的には、客層(ターゲット)、売上予測(求めている報酬)、理念(院として大事にしたいこと)、欲求(何を喜びとするのか)、さらにはユーザエクスペリエンス(顧客に体験して欲しい感情や状態)等を予め設定することで、自然と回答が導けるというものです。
とはいえ、試行錯誤しながら院運営をして行きたいという方もおられるでしょう。スタンスにおいても正解・不正解はないことでしょう。(所要時間70分)
15:30 3件目。個別相談です。これまでとは異なる少々特殊な手法での相談業務を実施しました。それは「感情に気付く」ワークです。経歴や現状をお聞きすると、上手くいかない理由は「やり方」ではないと感じました。
まず序盤に、仕事のことをお聴きしました。これまで実践してきたこと、これから実践しようとすること、目指す成果や手法等の現状を丁寧且つ淡々と説明してくれました。そう、淡々と。この時点で非常に賢く論理的な方だと思います。
この方は、特に改善点を求めるではなく、上手くいかない理由までも淡々と説明してくれました。「この人は、ノウハウ面やコンセプト不足の課題ではない」と判断させてくれる訳です。個人の特定防止とプライバシー保護の為に詳細は省きますが、言葉の端々から共通したワード(人間関係におけること)を拾うことができました。平たく言うと、特定のポジションと自分との間に「気が付いていない感情」があって、その感情が最適な結果を生む行動を制限しているという構図です。
これをお読みになって、ノウハウが良ければ万事OKでしょ?と言う方もおられるでしょう。しかし、実際のビジネスのおいて、心の在り方というものは現実をも左右するということがあると私は実感しています。
感情とは非論理的な世界であり、論理的に物事を見ることに長けている人は、自らの感情を見ない(なぜなら感情は論理には無用...)というスタンスをとる傾向があるかもしれません。ビジネスの成果を生み出す、加速させるとき、その動力源であるのは、ノウハウや論理よりも、もっと根底にある自らの「感情」かもしれません。(所要時間60分)

17:00 ラスト4件目です。3名の方に参加して頂きグループ相談会となりました。
各々の応募動機は以下の通りです。
  1. 開業準備段階における諸々の疑問点を解消する機会を探していた。
    (理学療法士として30年活動。その経験を活かした鍼灸院を計画中)
  2. 相談は明確にないが、他の方がどの様な考えなのか知りたく、また同業の方との繋がりを求めている。
    (臨床歴20年超。訪問を中心とした出張鍼灸院を運営。)
  3. 特に相談はない。現在鍼灸業界を担っている方、これから担っていかれるであろう方。双方の間に何かギャップを感じる。自身の社会経験豊富が故に足かせになってる。反面、大きな強みにもなる。鍼灸の普及について臨床とは別に何かできることはないだろうか。
    (航空業界など約30年の社会人経験。海外生活歴も)
【換気&マスクのCovid-19対策仕様です。】
シンプルに凄いメンバーを集めてしまいました。ご覧の通りの豊富な社会経験です。結果、相談会というよりも座談会という形式となりました。大まかな流れは、開業計画や疑問点を参加者間で意見交換をして頂きました。様々な意見が飛び交う、とても豊かな時間です。予定していた60分を大きく超えた所要時間120分。今後もメンバーや内容を変えつつ、継続していくことを大枠で決定しています。何かと一人でやってしまいがちな鍼灸師ですが、「ひとりですると一馬力、みんなですると、倍々の効果」その視点大切にして行きたいと思いました。 多くの議論の中で、特に私の興味を引いたトピックをご紹介します。 「単純に鍼灸がしたいだけ」 ③の方からの熱い想いです。社会人経験は豊富ながら、鍼灸師としてはまだ1年目の方です。
「鍼灸臨床がしたい。練習がしたい。教えて欲しい(何か<型のようなもの>が欲しい)」という切実なものです。これまで、多くの場面で遭遇してきた鍼灸業界の実情ですね。「卒業後は、ほぼすべての人が均一の臨床機会が得られる理学療法士の世界とは大きなギャップを感じる。」(理学療法士①さん)の話が、この実情をより一層際立たせます。

レンタル施術所「校友会鍼灸室」では<アネックス鍼灸部>なるものを創設して、同期のメンバーたちと切磋琢磨するも、相手がいつも同じの為、マンネリ化するという悩みを抱えていました。

彼女の意見とビジョンをこうです。
初心者鍼灸師が、指導員の元、鍼灸施術を行うグループを立ち上げたい。皆で協力して集客する。協調して活動することで相互発展を促す。初心者の練習ということが主目的なので、施術料は相場よりも安価に設定する。とにかく、実践の場を!

決して初出の事柄ではないにしても、想いの伝え方から実効性を感じるものがありました。私個人的にも、お手伝いしたいと思う次第です。
以上、相談会の報告となります。最後までお読み頂きありがとうございました。

【校友会WEB担当/校友会鍼灸室管理  伊藤圭人(鍼灸31期)】