◆卒業生投稿
2019年4月12日(2020年3月20日更新)女性アスリートの月経によるコンディショニング~東洋医学的所見~ (前編)
女性である限り、月経は切っても切り離すことのできない身体の生理現象です。自身は女性であり、ランナーとして運動性無月経を経験したことから現役の間、月経は無くても良いのか?大丈夫なのか?という相談をよく受けます。実際、私は中学1年生から10年間のランナー生活の間、自然に月経が来ることはなく、臀部に打つ筋肉注射やホルモン剤の投与など西洋医学の力を借りて、比較的レースの少ない時期に月経を起こすようにしていました。
一般的に月経周期は28~30日としますが、1週間ぐらいの誤差は東洋医学的には普通の範疇とします。また、不定期な状態であっても、1ヶ月か2ヶ月はよくあることで、3ヶ月以上続くようになって初めて病的な範疇としてみます。
しかし、日常的に激しいトレーニングやウエイトコントロールに励む女性アスリートにとってトレーニング内容、体質によって個人差はありますが、結論から言うと月経が止まるのは仕方がないことなんです。
一流ランナーの多くは、追い込み時期は月経がなく、しばらくトレーニングを休むとまた始まります。しかし、またトレーニングを再開すると止まります。これは正常な反応なのです。
女性というのは陰に属し、陰は内向きで静の性質を持つように、本来できるだけ気血を消費するようなことを避けて温存しておくというのが、女性の生活の仕方です。これは妊娠出産の準備をする為に子宮に気血を集め、フカフカのベッド状態を保つようなイメージです。このようにして気血を温存すれば、気血が余りますので、その余剰分を月に一度月経として排出し、気血を入れ替えます。
ランナーの場合、盛んに気血をトレーニングで消費しますので血の余剰分がありません。そうすれば当然月経を止めなければ激しく血虚に偏り、女性器に重大な問題が生じてしまいます。よって、月経が止まるのは、ある一面から言うと未だ身体を正常に保とうとする自然治癒力の現れであると判断すべきだと思います。自然治癒力とは命を守ることと言い換えてもよいかもしれません。
無理に病院へ行く必要もありません。思春期の女性アスリートにとって、産婦人科へ行くというハードルはかなり低くなったといえども、やはり羞恥心があり、検査に嫌悪感を感じたという声も少なくありません。また、身体に不調和なホルモン関係の薬で、強引に起こそうとする方が心配です。
最近は、月経を遅らせるピルやホルモン剤を積極的に使用しようという声もよく耳にしますが、まずは何の為に使用するのかを本人が知り、納得した上で使用して欲しいと思います。
→→→後編へ続きます。
https://www.morinomiya-a.jp/2019/04/15/for-woman-athlete-2/
【 はり灸碧空 福森千晶(専/鍼灸学科41期)】