◆ ブログ
平成30年11月16日
第10回 職種の壁を跳び越える – 穴田夏希 – 森ノ宮校友会連載ブログ②
〜「地域包括ケアシステムと鍼灸師」〜職種の壁を跳び越える〜 〜
10回に渡って好き勝手なことを書かせていただきました。このまま最後まで勝手なことを書こうと思います。
繰り返しになりますが、理学療法士として勤務するようになって強く感じるようになったのは「連携」の大切さでした。簡単なことではありませんが、地域包括ケアシステムという概念のもと医療、介護、福祉、そして地域社会が連携を取るべく努力をしています。患者様や利用者様を医療、介護職種一人でみる時代ではなく地域でみる時代になっていると言えます。
もちろんスムースに連携が取れることばかりではなく、どの現場も試行錯誤を繰り返しています。
鍼灸師、柔道整復師としてそれぞれの領域でプロフェッショナルを目指すことが大切であることに異論はありません。しかし連携の取れない医療関連職種は自分たちの価値を半減させているようにも思います。
地域包括ケアシステムを鍼灸師はどのような機会と捉えているのでしょうか。
たとえば「地域包括ケアシステム 鍼灸師」とwebで検索すると、
平成26年4月28日開催された、第100回社会保障審議会介護給付費分科会の資料の中、『医療・介護サービスの提供体制改革後の姿(サービス提供体制から)』の地域包括ケアシステムの図の中に『はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師』が明記されました。
という記事が散見されます。
以前柔道整復師と地域包括ケアシステムという題でお話ししたことがありましたが、鍼灸業界もこの地域包括ケアシステムに注目しその仕組みの一部になろうと考えていることが分かります。
大阪府鍼灸師会のホームページにも「介護予防鍼灸師登録制度受講案内」が数年前に掲載されており、地域との関わりを模索していることが伺えます。
ここでご紹介したもの以外にも様々な活動や成果があるとは思いますが、鍼灸師や柔道整復師が地域包括ケアシステムに関わるために必要なことは何か?
それを話し合う井戸端会議的な集まりを3年程前に組織しました。
Janps 〜職種の壁を越える〜
多職種連携の障害となっている壁を跳び越える(ジャンプする)という意味で名付けました。(もちろんジャンプはjumpなのでjanpsは造語です。)
主なメンバーは、
- 整骨院経営者
- もともと柔道整復師で現在は言語聴覚士として病院勤務
- もともと柔道整復師で現在は看護師として病院勤務
- そして理学療法士、鍼灸師、柔道整復師である筆者
鍼灸院や整骨院、デイサービスに勤務したのちにコメディカルとなって病院等に勤めている者に、整骨院経営者を加えた4人のメンバーで構成されています。
それぞれの現場が忙しく定期的な活動はできていませんが、地域包括ケアシステムを補完する役割が鍼灸師や柔道整復師にあると信じ、不定期で勉強会を開催しています。鍼灸師、柔道整復師としての勤務経験があるメンバーだからこそ気付けた今後の課題や、共有すべき知識などを提供できる組織を目指しています。
今はただの小さな有志の集まりにすぎませんが、志を共にできる先生方、学生がおられましたら是非意見交換などしてみたいです。
最後になりますが、10回に渡って主に「連携」をテーマに鍼灸師や柔道整復師の可能性について書き綴ってきました。未熟な考えや稚拙な文章にも関わらずお読みいただいた方々には感謝申し上げます。これからも私たちの業界の可能性や将来を自分なりに探り発信していきたいと思います。
【理学療法士/柔道整復師/鍼灸師 穴田夏希(柔道整復学科7期)】
今回で最終回となります。お読みいただきありがとうございました。