◆ ブログ
平成30年4月9日
第5回 次の世代の患者さんを育てる – 足立繁久 – 森ノ宮校友会連載ブログ①
第5回 次の世代の患者さんを育てる
最近の鍼灸業界の人気部門といえば美容鍼灸でしょう。また不妊鍼灸を取り入れる動きも多かったように思います。
以前はスポーツ鍼灸や耳ツボダイエットといった流行もありましたね。
鍼灸業界にも流行があります。そしてそのたびに流行りの鍼灸を看板に載せる鍼灸院が増えます。この動きを見て思うことは、鍼灸業界って狩猟採集生活みたいだ…と。群れがきたら獲物を獲り尽くすまで採集するイメージです。
美容鍼灸や不妊鍼灸というブーム(群れ)がやってきたから皆でこぞって猟(漁)に出るという構図に似ているようにみえます。
この構図は昔からあった高齢者に保険診療を行っていた鍼灸のあり方と同じかもしれません。私が鍼灸資格を取得した頃は「鍼灸は高齢者のための治療」というイメージが一般的でした。
しかし高齢者への保険鍼灸がメジャーだと次の患者さんが育ちません。高齢者の方々は治療を卒業する=亡くなるということですから。
狩猟採集から農耕栽培にシフトする動きが鍼灸師には必要です。もちろん成功モデルを取り入れるという姿勢も必要ですが、患者さんを育てるという意識も必要です。
「患者さんを育てる」という点に関して上手いと思うのが、医師会の動きです。
よくCMに「生活習慣病やメタボ(メタボリック・シンドローム)」「EDの治療」「禁煙外来」「うつ」「逆流性食道炎」「ロコモ(ロコモーティブ・シンドローム)」などなど、あらゆる患者さん層に対し来院しやすいように情報を発信しています。豊富な資金力と影響力のなせる技です。
でもよくよく見直して欲しいのですが、生活習慣病もEDも鬱(うつ)も逆流性食道炎もロコモも本来は鍼灸の守備範囲だったはずです。
この動きを見るにつけ思うのですが、鍼灸師は常に新しい対象疾患や患者さん層を開拓する必要があります。
流行りを追いかけるのはお客さんの特徴ですが、病に悩む患者さんに流行りはありません。「病院で解決しない疾患」「病院に行ってもとりあってもらえない悩み」を探し、鍼灸で対応治療できることを、日々の実践していく必要があると思います。
地道な活動でしょうが、草の根活動はお金も力もない者が可能な方法ですから。
私の鍼灸院では「つわり」「逆子」「ムズムズ脚症候群」「夜泣き・かんしゃく」「チック症」がこれにあたります。
次の世代の患者さんとなるのがお子さんです。そして子どもたちを育てる妊婦さん、お母さんに東洋医学の実用性を体感してもらうことを私の草の根活動としています。もちろん、私の小児はりを受けた子どもたちが大人になって他の鍼灸院に訪れるようになるのはまだもう少し先の話。
そのためにも「鍼灸は効く!」という記憶を子どもたちに示していかねば…と日々思うのです。
続く。