◆ ブログ
平成30年3月19日
第2回 鍼の上達法 – 足立繁久 – 森ノ宮校友会連載ブログ①
足立繁久先生による 連載ブログ2回目です。それではどうぞ!
第2回 鍼の上達法
今回も学生さん向けの内容です。私の実践していた鍼灸の上達法のひとつを紹介します。
鍼灸の上手になりたければ、常にそれに触れておくことです。つまり、毎日鍼お灸をすることが上達の入り口です。これは鍼灸に限らず何事にも共通することです。
『毎日続けることなんて当たり前でしょ』『毎日鍼してるけどそれほど上手くなった実感はない』と、そんな言葉も聞こえてきそうです。
ですが、毎日鍼お灸するといっても、ただ作業的に鍼灸するのではありません。毎日行う鍼灸に工夫を加え続けていくことは当然のことです。
かといって「工夫を加え続けること」だけでは十分とは言えません。「鍼をすること・鍼で効かせることが自然になること」が大事なのです。
「挽(ひか」ぬ弓 放(はなた)ぬ矢にて射日(いるとき)きは 中(あたら)ず しかもはづさざりけり」
このような道歌が『針道秘訣集』にはあります。
「的にあたるのは当たり前」の状態になることが大事である…と、私なりにこの歌を解釈しています。
鍼灸初級者の脳内では鍼を効かせる前にいろいろなことを頭で考えるものです。
『切皮痛がないように鍼しないと…』『取穴はココであっているかな…』などなど、頭の中は騒々しいもので鍼に集中できていません。
他にも『この鍼、このツボは本当に効いてくれるのか?』『効かなかったらどうしよう…』と迷い疑いがあります。
前者は単純に手の修練不足で、後者の迷い疑いは鍼灸医学の勉強不足です。迷いなく鍼灸を信じて治療できるようになるためには、勉強と修練の両方が必要です。
鍼やお灸で治療すれば効くのは当たり前。わずかな不安や疑問の入る余地はありません。
初心者のうちはまず「手元を見ずに切皮・刺鍼できる」ことが当たり前。慣れてくると「狙った深さ・角度に鍼すること」が当たり前。意識しなくても思い通りに鍼ができるようになることです。自然に鍼するということです。その先に「鍼が効くのは当たり前」の段階があります。
誉められた例ではありませんが、他の事をしながら鍼する、寝ながら鍼することもよくしました。個人的には半分寝ながら夢と現の間で鍼することは今振り返ると良い訓練になっていると思っています。