第1回 私の奥義 – 足立繁久 – 森ノ宮校友会連載ブログ①

◆ ブログ

平成30年3月15日 
第1回 私の奥義 – 足立繁久 – 森ノ宮校友会連載ブログ①  

いつも校友会WEBサイトをご覧いただきありがとうございます。

平成30年3月より10回に渡る連載型のブログを開始しました。この度、森ノ宮医療学園出身以外の方々からも記事を頂戴する事ができました。第1回目は鍼道五経会の足立繁久先生(明治鍼灸大学 卒)からの投稿です。

それではよろしくお願いいたします。

第1回 私の奥義

初めまして、鍼道五経会の足立繁久です。このエッセーを読んでくれる人は学生さんや初級者の先生方が多いと思います。ですから、その方々を対象に私の思う事を書いていこうと思います。

最初のテーマは自己紹介も兼ねて「私の奥義」と題し、私が師 馬場乾竹先生(現、和魂漢才鍼灸代表)から教えを受けた中で最も重要かつ実践的であった(と私が感じた)教えを紹介します。

馬場先生からは脈診、腹診といった診察法、難経を中心とした東洋医学的な鍼灸を教えていただきました。その教えの中で私なりに大事としているものは「有形と無形」です。有形とは形あるもの、目にみえるものです。無形とは形の無いもの、目に見えないものです。陰陽の考えそのものですね。

「その程が奥義なの?」とがっかりする方もいるかもしれませんが、奥義ってそんな一面を持っていると思います。気づかない間はただの基本ですが、気づくと凄いのです。

私の場合、有形と無形の考え方を知ることで脈診や腹診の理解も、症状や治療に対する視野も広がりました。

ちなみに東洋医学の中にも有形と無形があります。一般的な見かたでは「東洋医学は目に見えない“気”だけをみている」と勘違いされていることが多いようですが、そうではありません。

無形の気や経絡を診ますが、有形の血や臓腑・筋骨・四肢も診ます。人体をひとつの見かたに執着せず多角的に観ることができる。これが東洋医学の長所です。

ですから鍼というひとつの手段にも、トリガーポイントのような硬結に鍼をして効果を出す例もあれば、ごく浅い刺鍼で効果を出す例もあります。前者は有形の治療法、後者が無形の治療法になります。

脈診も同様です。一つの方法に制限されることなく、複数の脈診を使います。腹診も望診も同じです。そうすることで柔軟な思考を得るのです。目に見えないから、理解できないからと言って否定してしまうことはとても勿体ないことです。

人と人とのコミュニケーションも同じです。目に見える情報だけにとらわれると、肝心なことが分からなくなってしまうことはよくあることです。感情や気持ちを大切にするのが人なのですから、目に見えないところに心を配る必要があるのは当然です。

特に鍼は目に見えないもの(経穴・経絡・気…)を扱うのですから、目に見えないものに対して感受性を高める必要があります。

陰と陽、有形と無形、建前と本音、規則と臨機応変、お金と愛情…どちらも軽んじて生きて良いわけにはいかないのです。

【鍼灸師 足立繁久(足立鍼灸治療院 / 鍼道五経会)】

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