平成27年度校友会勉強会 ◆『天津中医薬大学で学んだこと』

◆ 平成27年度校友会勉強会 講座⑥『天津中医薬大学で学んだこと』
鈴木 琢也 先生
8月29日(土) 16:30~18:00@森ノ宮医療学園専門学校

今年4回目となる校友会勉強会。
今回は実技でなく講演方式というスタイル。
また、在校生も参加が可能ということもあり
約半数が在校生という構成でした。
教室も良いくらいに満員になり
とても活気のある講座となりました。

信州大学を卒業後、当時の天津中医学院(現:天津中医薬大学)へ
短期ではなく本科生としての留学経験のある鈴木先生。
国費の奨学金を受け5年間のカリキュラムをこなし、医師の免許を取得されました。

その経験から、中国における体験を面白く伝えてくれました。

「腋汗の治療ってできる?考えたことある?」導入はこの質問から。この質問の意図は、講座全般で話されたこと、私たちが体感したことと繋がりのあるものでした。(後述)

今回の講座において最も特徴的であったこと、それは受講生の左手に「常に鍼が刺さっていたこと」でしょう。

「気至病所」・・・病のあることに気が至る。 このことを実感するため、自分の「内関」へ刺鍼しつづけます。 使用鍼は1寸の1番。講座の後半は2寸で。

浅く・鍼体は寝るようにして留鍼。優しい捻転(回旋)を継続して行います。 随時、得気のあった人が挙手し、どこに感じたかを報告します。 もちろん、この間も講座は普通に進行しています(笑) 手掌に感じる人、指先や上腕へ来るひと。様々です。

この得気が意味するところは、先に述べた「気至病所」です。 厥陰心包経内の内関に刺激をすることで、心包経上の特定部分への感覚を各自認識するための方法です。 心包経と表裏である三焦経に感じたひともいるようです。

鈴木先生曰く 「時間があるときは2時間くらい自分の身体で実験すると良い。 経絡やその効果が身をもって実感でき、自信をもって臨床を行うことができる。」

中国伝統鍼灸とその他二つとの決定的な違いが経絡の存在であることも強調されていました。 冒頭の「腋汗治療」について治療法を未だ知らないにしても、その部分に流注している経絡を知っていれば 「気至病所」を用いて治療することができるということです。 (少陰心経を用いれば良いようです。)

留学の話

最初は語学での留学を1年行い、その後中医学院に入学しました。 留学費用(奨学金))についても、現在の当時を比べて詳しく説明して頂きました。 最近はかなり優遇された制度があるようですね。 その他、大学でのカリキュラムや「醒脳開竅法」についても教わりました。

 

留学してよかったこと

・勉強の仕方を教わった

基礎知識を重んじることとは、 簡単に言うと、有名な古典やその他の基礎知識をほぼ暗記していることであるという。 中国の先生方は、老中医を含め、様々な質問に対して、記憶している古典文献の中から参照してそのままの語句で返答することが多いらしいです。

鍼灸医学は「直観」で行うとよい。

「直感」は知識のない感性だけでの世界であり、
「直観」は膨大な知識の裏打ちがあるという

ここには大きな違いがある。
ここの記載した物はほんの一部になります。 たくさんの話の中から印象に残った部分を抜粋して書かせて頂きました。

「講義は慣れてなくて」という鈴木先生でしたが、 とても面白く、楽しい講義を行ってくださいました。

遠くは仙台からお越しいただきありがとうございました。

【伊藤 圭人(鍼灸31期)】

  

  

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