◆ 平成27年度校友会勉強会 講座③『ここまでわかった灸刺激』
川波 博 先生
5月9日(土) 18:50~19:50
森ノ宮医療大学 分子病態学教室 研究員であり
代々続く白矢鍼灸院の3代目鍼灸師でもある川波先生。
「エビデンスを知る→臨床に変化・自信が生まれる→信頼関係がUP・説明力UP→鍼灸臨床が楽しくなる!」
臨床で感じた疑問を解明したいという動機の元、大学にて研究を行っています。
講義のテーマは「ここまでわかった灸刺激」。
今回、灸刺激における根拠となる研究結果を発表して頂きました。
川波先生は、創傷に対する灸を題材にして研究をしています。
そもそも、創傷への灸治療は古いルーツがあるようです。
平家物語には弓矢でできた傷への処置として灸を用いていました。
白矢鍼灸院では、手術後の縫合部に対して疼痛緩和を目的として施術しています。
効くことは知っていたが、資料が存在しなかった為研究にて明らかにしようとしました。
意図的に傷を付けたラットを用いた実験にて
「灸を施術したもの」と「しないもの」では傷・治癒過程には明らかな違いがでました。
使用道具はカマヤミニ(弱)。1回の施術で7分、傷の周囲に4か所。一日おきに14日の実験。
検証結果は4日目8日目での傷の状態が良いということがわかりました。
画像検証以外に、分子生物学的、遺伝子的にも有意差が見られます。
灸刺激では「TGF‐β」という繊維芽細胞に働きかけ
肉芽組織生成をUPさせる物質の活性が明らかになったようです。
今後はこの基礎研究を臨床研究に応用していきたいとのことです。
講座の締めくくりには、同じ研究仲間でもあり今回の講座を監修して下さった川畑先生よりコメントを頂きました。